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願で“あめ”づくり

2015.12.09 Wednesday


とある先日のお休みの日です。
久方ぶりの願(ねがい)です。

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【α7S,LA-EA4,Planar T* 50mm F1.4 ZA SSM,1/200,F5.6,iso100】

海岸線に立って望む二ツ亀です。
風が冷たい日でした。

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【α7S,LA-EA4,Planar T* 50mm F1.4 ZA SSM,1/50,F2,iso1000】

さて、ご案内いただいたのはこんな素敵な作業小屋です。
薪の香りが良いです。
風にガタガタと音を立てる引き戸や窓が良いです。
波の音を遠巻きにした静けさが良いです。
そして、浮きの腰かけが抜群に良いです。

この日は願や外海府方面に伝わる“あめ”という昔ながらのお菓子作りを見せていただく機会を得ました。

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【α7S,LA-EA4,Planar T* 50mm F1.4 ZA SSM,1/125,F2.8,iso2500】

既に下準備は整い、あとはこの薪ストーブでひたすら煮詰めるという作業に立ち会わせていただきました。

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【α7S,LA-EA4,Planar T* 50mm F1.4 ZA SSM,1/125,F2.8,iso2500】

たまにある作業といえば、薪(ベータ)を割ってストーブへくべることと、、、

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【α7S,LA-EA4,Planar T* 50mm F1.4 ZA SSM,1/200,F2,iso2500】

灰汁を丁寧に取ることです。

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【α7S,LA-EA4,Planar T* 50mm F1.4 ZA SSM,1/200,F2,iso2500】

“あめ”の原材料となるのはもち米と大麦の麦芽です。
このお菓子を作るためなのかどうか、この日“あめ”を作ってくれたお母さんご自身が「毎年少しだけ作る」という大麦を使っていただきました。

大麦を発芽させたものを乾燥させてすりつぶし、パウダー状にします。
これを炊いたもち米にふり、お粥くらいに緩く水を張り、さらに木綿袋で漉した汁をこうして煮詰めます。
文章にするとわずか2行になってしまいますが、この作業が非常に難しく、4〜5日くらいを要するんだそうです。

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【α7S,LA-EA4,Planar T* 50mm F1.4 ZA SSM,1/200,F2,iso5000】

煮詰めてから約2時間です。
白みがかっていた鍋の中身は少しずつ暖色を増し、サラサラだった汁はトロミをつけ始めます。
麦の何とも言えない香りに包まれながら、ひたすら鍋の中を注視しながら時間が過ぎます。

「ただ煮るだけだモン。何も面白いこと無いワ」
ただただ鍋の中を見つめながらの時間に、お母さんが気遣ってくれます。
しかし、私にとってはこれ以上にないくらいに楽しい時間でした。
波や炎を見つめるのと同様、鍋の中を見続けることにまったく飽きはありませんでした。
まして、大好きな願の今日からでも住んでみたいような作業小屋です。。。
とても贅沢な時間に思えました。

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【α7S,LA-EA4,Planar T* 50mm F1.4 ZA SSM,1/200,F2.8,iso6400】

願といえば「扇岩」です。
昭和40年に倒壊してしまい、今はその姿を見ることはできませんが、その面影を追って何度も願へと通いました。

「おっきな岩だったんですか??」
「そらぁ、おっきかったよ。近くへ寄ると覆いかぶさるようだったよ」
「近くへはよく行かれたんですか??」
「あの岩の周りで海苔が採れてなぁ。でもワタシは怖かったよ。あの岩へ行くと何かこう胸がザワザワしてなぁ。気味悪かったよ」
「倒れちゃって、みんなビックリしましたでしょう??」
「いやぁ〜、『アレはじき(そのうち。すぐ)に倒れる』って誰かが言うとったんだワ」

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【α7S,LA-EA4,Planar T* 50mm F1.4 ZA SSM,1/200,F2.8,iso6400】

学校へ通うのも海岸線の道をずっと歩いて行ったこと。
高校へ通うにも鷲崎から船に乗らないと道が通じていなかったこと。
お盆と正月に里帰りするとき、賽の河原を過ぎて願の集落が見えるとホッとしたこと。
色々なお話を聞かせていただきました。

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【α7S,LA-EA4,Planar T* 50mm F1.4 ZA SSM,1/125,F2.8,iso6400】

良い感じに仕上がってきました。
薪ストーブから火加減の微調整の利く火鉢へと鍋を移します。

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【α7S,LA-EA4,Planar T* 50mm F1.4 ZA SSM,1/200,F2,iso6400】

ここでちょっとしたハプニングです。
鍋が薪ストーブの穴にカッチリとはまってしまい、抜けなくなってしまいました。
…で、無理矢理引っこ抜いたところ、薪ストーブのパーツごと外れてしまい、鍋が浮き輪をつけたような状態のままになってしまいました。。。

「このまんまで構うこたぁねぇっちゃ(笑)」
この大らかさが佐渡人らしいというか何というか、、、大好きです。。。

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【α7S,LA-EA4,Planar T* 50mm F1.4 ZA SSM,1/200,F2,iso6400】

この日、少し遅れて参戦してくださった“ネガジョ”のミナコさんです。
実はこの日、この場でこうしてお母さんと巡り会えたのはミナコさんのご尽力によるものです。
お母さんと併せ、ミナコさんにはこの場をお借りして感謝を申し上げます。

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【α7S,LA-EA4,Planar T* 50mm F1.4 ZA SSM,1/200,F2,iso6400】

まるで母娘みたいですね。
失礼にも「お転婆だったんですか??」とお聞きしてみたところ「そうだった…と思います(笑)」とのことでした。

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【α7S,LA-EA4,Planar T* 50mm F1.4 ZA SSM,1/200,F2,iso6400】

良い感じですか??

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【α99,Sonnar T* 135mm F1.8 ZA,1/60,F2,iso1600】

良い感じですね。
ちょこちょこ味見をさせていただいていたんですが、色が濃くなるにつれ甘味も増してきていました。
それでいて甘すぎるというようなこともなく、とても優しい甘さでした。

【α7S,LA-EA4,Planar T* 50mm F1.4 ZA SSM,1/160,F2,iso1600】

私にとってはもちろん初めての味でしたが、ミナコさんにとっても初めてのお味だったようです。
「お正月の味がする」とはミナコさんによる名言です。
ちなみに、一滴ほどもストーブに垂らしてみると、ジュっと音を立ててポン菓子風に姿を変えます。
こちらは「夏の味」がしました。(と思います)
ミナコさんにおかれましては、今後、この味と作り方を継承していってくださるものとお慶び申し上げます。。。

「昔はコレを作らん家はなかった」そうです。
“あめ鉢”という桶のような器に入れ、時には木槌で割って、時には囲炉裏炬燵で柔らかくして食べたそうです。
「冷やして固めておけば、いつまでも持った(保存できた)」んだそうです。

昔の人の知恵ってすごい。
麦のチカラってすごい。
「いやぁ〜、上手く出来てよかった」
ようやく頬を緩ませ、笑顔になってくれたお母さんの顔を見ながら、そんなことを考えていました。(声にも出ていたと思いますが…)

「相川から来ました」という私に、実は相川に友人がいらっしゃるというお母さん。
「今まで相川なんて行くこともなかったけど、その方のお陰で今年はお神輿(相川祭り)を見ることもできました」というお母さん。
せっかくなので、この日作った“あめ”を少し分けていただき、相川のご友人様にもお届けさせていただきました。

そのご友人様のお宅にお邪魔させていただいたのは20時を回った頃でしたが、優しそうなご夫婦でお出迎えをいただきました。
「さっき願から電話があって、お待ちしておりました」
こんな時、人間に生まれて良かったなと思うもんです。

また「月イチ“願”」を始めたいなと思います。
行くたびお母さんの顔を見られたらなと。
そして来年あたりは、相川祭りの場でお会いできたら嬉しいです。
この日の得難い時間と、出会いに感謝です。

ところで“浮き輪”のようになっていた鍋ですが、、、
ちゃんと外れたのかどうかが非常に気になるところです。
それは次回にお母さんにお会いした時の楽しみに取って置きたいと思います。。。



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