先々週あたりのとある寒い日です。
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廃校となった校舎の一角に佇む机とイス…。
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懐かしさと温もりに溢れたきしむ階段…。
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今は子どもの声も聞こえない階段脇の廊下…。
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…と、そこに唐突にイカの肝です。
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湯気の立ち込める給食室。
そして絶えず聞こえてくる包丁の音と笑い声。
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ここは
岩首談議所です。
廃校となった校舎 --- 旧・岩首小学校 --- を地域の交流拠点として活用している体験交流館です。
この日は岩首のおかあさん方が、地域の郷土料理を作ってくれるということで、図々しくお邪魔をさせていただきました。
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ザクザクザクザク…。
材料を刻む包丁の音が心地よく響きます。
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クツクツクツ…。
窓際のコンロにかけられた鍋から湯気が立ち上ります。
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ザクザクザクザク…。
ザクザクザクザク…。
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細かく刻まれたネギ。
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このまま食べてしまいたいようなイカワタ。
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そしてイカゲソ。
どれも地元で採れた食材です。
どれも“新鮮”という表情をしています。
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先ほどまで鍋の中にいたのはぬか漬けイワシです。
ホロホロと身をほぐしながら、小骨を丁寧に取り除いていきます。
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小骨取りの担当は、岩首地区で地域おこし協力隊員として活躍している
新田 聡子 さんです。
この手作業もお手の物のようです。
この2月をもって隊員としての任期は終了となるそうですが、引き続き佐渡市民として岩首にお住まいになるんだそうです。
嬉しいことです。
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さらに大根と人参が細かく刻まれました。
瑞々しさという香りが立ち上っているようです。
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味付けには、この米ぬかとお砂糖が少々だそうです。
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ひととおりの下ごしらえが調い、今度はコンロに向かいます。
後ろから見ていると母娘のようです。
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この日作っていただいたお料理は「ぬか漬けイワシのいぜい」と「イカワタのいぜい」です。
“いぜい”のことを私は“いじぇ”と読んでしまったわけです。
私見ですが、佐渡の郷土料理というようなものの名前を見ると、炒りものや炒めものの類に、この“いぜい”という呼称がくっついていることが多いようです。
語源については「炒りぜい」「煎り菜(いりぜい)」というようなものではないか?? とのことです。
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こちらが「イカワタのいぜい」です。
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大根、人参、イカワタ、イカゲソが投入されました。
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こちらは「ぬか漬けイワシのいぜい」です。
先ほど小骨を取り除いたイワシが大根、ネギとともに火にかけられています。
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「お味はいかがですか??」
↑コレすなわち「一口ください」という意味合いです。。。
おかあさん、味見をさせてくださいました。。。
「こういう味なんですね〜」
なんとなく、味の輪郭が見えた感じがしました。
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そして米ぬかが投入されます。
あとはこれをコトコトと煮詰めていきます。
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「今はコンクリートの漁港だけど、昔はあそこに番屋もあった」んだそうです。
「イワシがたくさん採れて、それをぬか漬けにして保存食にした」んだそうです。
「今もこうやってよく“いぜい”を作るんですか??」とお聞きしてみたんですが「いや〜…作らないなぁ(笑)」と…。
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鍋がコトコトと音を立てている合間に、イカの胴体がイカ刺しへと姿を変えていきます。
先ほどまではザクザクという音が響いていましたが、今度は音もなくスーッと包丁を滑らせていきます。
イカは甲(骨)と目玉といった食べられない部分以外、すべて無駄なくいただきます。
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なので「イカワタのいぜい」を食べるときは、必ずこうしてイカ刺しがセットになるそうです。
いよいよ完成です。
【α99,Sonnar T* 135mm F1.8 ZA,1/50,F2.8,iso100】
そしてこちらは「ぬか漬けイワシのいぜい」です。
当初の私の勝手な想像に反し、両方ともほんのり甘めの味付けです。
「きっと昔は砂糖は使わなかったと思います。高価なものでしたから…」と。
「イカワタが濃厚だから、きっと(あっさりした)大根と合わせたんだと思います」
「米ぬかはビタミンが豊富だから。きっと昔の人はそんなことまで考えてはいなかったと思いますけど、今思うと、良くできていると思います」と。
「全然立派なお料理じゃないから、本当は作りたくなかったんです(笑)」と。。。
おかあさま方、柔らかいほほ笑みを交えながら教えてくださいました。
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出来たての「いぜい二品」と「イカ刺し」。
そして「ごはん」「味噌汁」「きんぴらごぼう」「あさつきとわかめの和え物」です。
「全然立派な料理じゃない」だなんて、、、こんな豪勢なお料理がありましょうか。
ただでさえ美味しい佐渡の食材です。
海のものも山のものも、それらが先人の知恵と、それらを継承してきたおかあさん方の手によってとびきり豪勢なお昼になりました。
その季節にあるもので出来るものを作れば、どこよりも豪勢で美味しいものができる。
これが佐渡の魅力だと思います。
「昇竜棚田」に代表されるように、
棚田米としても有名な岩首です。
そのままでも美味しい岩首のごはんですが、さらに進みました。
遠慮なく、ごはんは山盛り3杯もおかわりをさせていただきました。
「岩首のお米は献上米になったこともあるの。そう、昔からお米は美味しいの」
先ほどまでずっと控え目だったおかあさん方ですが、ここは控え目な中にもしっかりとした自負とともにお話ししてくださいました。
この日は山間部では大雪、平野部では霙まじりの雨が降る日でした。
相変わらず、窓の外では雨どいを溢れた雨がバチャバチャと音を立てて地面を打っていました。
そんな中、こんなご馳走と、こんな温もり空間をご用意いただいたおかあさん方と新田さんには感謝を申し上げます。
おまけに、食べきれなかった「いぜい」を持たせていただいて…。
その日中にすべて美味しくいただかせていただきました。
ごちそうさまでした。
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